要介護者の歯みがき
食べる意欲・口腔機能の回復
口腔内の不潔は、口臭やう蝕、歯周疾患の原因になるだけではなく、要介護高齢者にとっては全身状態の悪化や食欲の低下につながるかもしれない重要な問題です。
要介護高齢者の口腔内が不潔になる要因としては、口腔乾燥の他に残存歯数の減少、加齢による筋力や予備能力の低下から摂食機能が減退することによる自浄作用の低下などが考えられます(口腔乾燥⇒食欲の低下⇒低栄養⇒脱水⇒全身状態の低下⇒口腔内の不潔⇒口腔乾燥)。
まず、口腔内が不潔になっている要因を考えて悪循環になっている連鎖を断ち切りましょう。
要介護高齢者への歯口清掃は、単に微生物を除去するのみならず、口腔内への刺激導入により唾液の流出や廃用していた筋への刺激による賦活も期待出来ます。口腔内が湿潤して感覚も敏感になれば口腔内の食物残留も減少させる可能性があります。このような視点で歯口清掃を行う事が、要介護高齢者の食べる意欲を引き出し、QOLの向上につながると考えられます。
口腔乾燥の原因/老化による唾液分泌機能の低下、咀嚼回数や会話の減少による唾液腺刺激の低下、発熱による脱水、開口状態や口呼吸、口腔清掃不良、薬の副作用などが考えられます。口腔乾燥には、外側からの唾液腺マッサージや、口腔清掃と刺激唾液の分泌を促します。
唾液の流れや口の動きによって、口腔内では常に自浄作用が働いています。義歯でおおわれている粘膜や、経管栄養などで口の動きが少ない方、唾液の分泌が低下して口腔内が乾燥しやすい方では、口腔内の自浄作用が低下します。自浄作用の回復には口腔粘膜を含めた口腔清掃が重要です。
粘膜清掃は、口腔内の唾液腺を刺激して、唾液の分泌を促す効果もあります。
高齢者は咀嚼機能の低下と唾液分泌の低下によりプラークが付着しやすくなるため、う蝕や歯周病に罹患しやすくなります。通院が困難な高齢者の場合、治療も簡単にはできません。歯肉の腫れや歯根露出などで痛みを伴う方で、自分で歯を磨くことが困難な方の口腔ケアについてご紹介します。
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この記事は、ライオン歯科材(株)発行の情報誌「Dent. File」からピックアップしてお届けしています。
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