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DENT.File 歯科医療・介護情報ライブラリ

予防歯科の現場

予防歯科最前線 vol.7 2010年8月発行 Dent.Filevol.14より 香川県三豊氏仁尾町 浪越歯科医院 院長 浪越 建男先生

フッ化物洗口でむし歯が激減した仁尾小学校

画像/小学校での歯磨き指導/学童の口腔写真撮影

1999年、私が学校歯科医をやっている仁尾小学校は「よい歯の学校日本一」に選ばれました。私が最初に仁尾小学校の子供たちの口の中をみて、むし歯の多さに驚いてから5年目のことです。
このような成果を上げた最大の理由は「フッ化物洗口」です。保護者の了解を得てほとんどの児童が毎週木曜日にフッ化物洗口に参加しており、この学校のむし歯の本数は著しく減少しています。

画像/仁尾小学校のDMFTの推移

1996年から始めて「よい歯の学校日本一」に選ばれたのは、開始4年目のことでした。13年を経た現在では、63人いる仁尾小学校の6年生のDMFTは0.16です。この町から峠を越えたフッ化物洗口をやっていない小学校では、今でもむし歯の数が仁尾小学校の何倍もあります。仁尾町では町内全ての保育所、幼稚園、小・中学校でフッ化物洗口が実施されていて「フッ化物洗口2世代目」が登場してきました。小学校ではフッ化物洗口の他に、毎月1回は当医院の歯科衛生士が昼休みに小学校に出向き、給食後のブラッシング指導をしています。毎年1年生、4年生、6年生の児童一人ひとりの口腔内の写真を撮影し、口の健康ノートを作成したり、また保護者にも保健指導をする機会を設けるなど、地域ぐるみの予防運動を展開してきています。

予防歯科には不可欠な歯科衛生士の力

予防を診療の基礎に据えることを私が決めた時に、もっとも大きな課題は歯科衛生士の育成でした。私も予防歯科における歯科衛生士の重要性を十分に認識できていたわけではなく、日本ヘルスケア歯科研究会の中心的メンバーの診療所で、歯科衛生士の仕事ぶりを見て考え方が大きく変わったのです。またアメリカワシントン州で歯科衛生士となり、帰国して活躍し始めていた薄井由枝さんとの出会いも、私や医院の歯科衛生士が歯科衛生士として目指すべき姿を考えるきっかけとなったと思います。

画像/長谷先生を迎えての院内勉強会

そしてフリーランスのプロフェッショナルハイジニストとして、複数の診療所で歯周治療と予防管理に携わっていた長谷ますみさんとの出会いによって、予防歯科医療に必要な歯科衛生士育成の道が開けました。長谷さんは2002年に、スタッフ教育、セミナーなど歯科衛生士の啓発活動を展開する「みんとの会」を立ち上げていますが、ここ8年ほどは、来院いただいて歯科衛生士の指導をお願いしています。
歯科衛生士が勉強することはたくさんありますから、時間の許す限り、外部の研修会などにも出席するよう促しています。参加費用や交通費に年収の4分の1を当てた年もありました。スタッフの力、歯科衛生士の力量を養うことはそれほど大切だということです。

患者さんとの信頼関係がもたらす自費診療の増加

画像/浪越歯科医院全景

画像/浪越歯科医院受付

予防を重視した診療体制に取り組み始めた頃は、患者さんが3分の1から半分にまで減りました。口腔内の写真を撮られたり、長々と予防の話を聞かされたりで、患者さんもかなり戸惑っている様子でした。タイミングよく小学校でのフッ化物洗口の成果が出始めたことで、私たちが診療室で話す内容に信頼性が増したことは否定できないと思います。お母さんが「子どもだけはむし歯にならないように」と子供連れで来院すると、それが他のお母さんへ、お父さんやおばあちゃん、おじいちゃんというように次々と家族が、そしてそれを聞いた知り合いの方が来院するようになりました。予防が定着するまでにはある程度の時間が必要でしたが、患者さんの数は確実に増えました。現在の患者の70%は町外から来院され、県外など随分遠くから通院して下さっている方も少なくありません。
ここ数年は自費治療が急速に増えてきています。予防で我々のことを信頼してくれている人は、治療の選択肢のひとつとしてのインプラントの価値を認めているようです。また、むし歯のない子供は矯正治療を受ける割合も多くなります。予防と治療は別の物ではありません。予防からインプラント、矯正へという流れは大きく、その逆の流れはきわめて小さいものと考えています。医院全体の患者さんのデンタルIQ自体が随分上がってきました。
前述の恩師藤井教授から歯科医師として教わったことのひとつに「与えられた環境で最大限の努力をする姿勢」があります。予防をどのように浸透させていくのかと質問されることがありますが、歯科医師、歯科衛生士はそれぞれ異なった環境や制約のもとで仕事をしていますので、皆が同じような成果を出せないのは当たり前です。悩みながらでも熱意をもって努力をする限り、予防の道は開かれると信じています。

勉強でつけた力を予防歯科にフル活用

主任歯科衛生士 日本歯周病学会認定歯科衛生士

Mint-seminar認定クリニカルハイジニスト(プラチナ)松尾円さん

画像/主任歯科衛生士 日本歯周病学会認定歯科衛生士 Mint-seminar認定クリニカルハイジニスト(プラチナ)松尾円さん

歯科衛生士6人の中で最も長く勤務しているのが私です。6人の歯科衛生士の年齢は21歳から40歳までと幅広く、一番若い人が2年目を迎えました。歯科衛生士はそれぞれ担当の患者さんが決まっています。担当する患者さんの状態をきちんと把握して、必要なら先生に報告して対処します。 私たちの勉強会は毎週1回。専門誌を見て自分で気になるところを勉強したり、その時によって先生に指導していただいたりしています。院外での研修会は2、3カ月に1回程度ですが、結婚して子供ができてからは、以前のように参加する時間が取れないのが悩みです。独身時代は「みんとの会」のセミナーに参加していましたが、いまは長谷先生が医院に来てくれるので助かっています。今年で歯科衛生士として15年目になりますが、アシスタントだけの仕事に比べて、予防は歯科衛生士の担当する仕事が多く、歯科衛生士の資格をフルに活用しています。

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