vol.5 たるみ歯科クリニック
今回お伺いしたのは、平成15年に開業した兵庫県宝塚市の「たるみ歯科クリニック」です。明るく広々とした待合室にワイドサイズのディスプレイ棚を設け、予防歯科製品を効果的にアピールしています。「製品を通して患者さんが自分の歯に興味を持つきっかけになれば」と語る院長の樽味寿先生とスタッフのみなさんに取り組みのポイントをお聞きしました。

"情報発信力を高め、予防歯科の意義を伝えたい。"
来院される方々が歯で困らず、一生自分の歯で食事するために、当院では、『歯や歯の神経をなるべく抜かない治療』を実践しています。また、徹底した感染対策にも取り組んでいます。
Q1.POP(ポップ)を効果的に活用されていますね。ディスプレイのポイントは?
POPを作るときは「どうすればわかりやすく伝えられるか」という点を意識し、インパクトがあるキャッチコピーと価格、特徴を箇条書きにしてコンパクトにまとめるようにしています。さらに詳しい製品情報は棚の中に設置したデジタルフォトフレームで表示し、興味をもって見ていただけるように工夫しています。ディスプレイ棚は新製品や推奨製品をセンターに置いて目立たせ、子ども用の製品は目の高さに合わせて下段に並べるほか、視覚的にマンネリ化しないよう定期的に製品を並べ替えています。「気軽に手にとって検討できる」と、患者さんにも好評です。
Q2. 季節の行事に合わせたセット販売を行われているそうですが、患者さんの反応はいかがですか?
子どもの日やクリスマスなど、イベントの時期に合わせて年4回ほどセット販売を行っています。昨年の春は入園・入学シーズンに「祝!入園セット」「祝!入学セット」の2種類を数量限定で販売しました。セット内容は歯ブラシとフロスに加え、園児用はフッ素ジェルとコップ、巾着袋、小学生用は染め出し液と鉛筆、定規、消しゴムなどのおまけ付き。お孫さんへのプレゼントに買ってくださる年配の方も多かったですね。毎回とても好評で「次はいつ?」と、楽しみにされている患者さんも増えてきました。

Q3. 予防歯科製品を購入される方が多いとのことですが、何か工夫されていることは?
常に心がけていることは、患者さんに予防歯科製品の効果を実感していただくことです。当院では歯磨剤の香味や歯ブラシの使用感を試していただくほか、サンプル品を差し上げたり、TBIでは実際に推奨製品を使って指導したりしています。「さっぱりして気持ちいい」「きれいに磨ける」と実感いただくと製品や予防歯科に関心を示すようになります。また、口腔内写真でプラークの付着状況やPCRの変化をみせてモチベーションを上げることも。
予防歯科製品は患者さんとのコミュニケーションツールでもあります。製品を通して会話が生まれるのでアイスブレイクに役立ちますし、口数の少ない方の生活習慣を知るきっかけにもなるので、より効果的なケアや提案ができるようになります。


予防歯科製品を購入していただく最大のメリットは、患者さんが自分のお口の中に興味をもつきっかけになることです。私たちは「大切な自分の歯はご自身で守っていただきたい(私たちはサポーター)」と考えていますが、すべての患者さんが予防歯科に前向きなわけではありません。どうすれば興味をもっていただけるかを考え、その方に合った方法をご提案できるように歯科衛生士とタッグを組んで取り組んでいます。現在は、地域の方々にも「予防重視の医院」と認知されるようになったおかげで、患者さんの約半分以上はう触等の問題がなく、メンテナンスで来院される方々となりました。
目下の課題は小児歯科。多くのお子さんはう蝕と分かってから来院されるケースがほとんどです。定期的な受診を促すには、まず保護者の方に正しい知識を持っていただくことが重要ですから、小児のイベントや母親教室など、今後は学べる機会を増やしていきたいですね。
当院では月に1回、フリーランスで活躍する歯科衛生士を招いて院内で研修会を開催しています。毎回約5時間の長丁場ですが、スタッフ全員が意欲的に取り組んでくれるので、患者さん個々の状態に応じた指導と施術ができるようになりました。たとえばPMTCも形式的に行うだけなら単なるクリーニングとなってしまいますが、私たちは歯科衛生士が患者さんとコミュニケーションを図る絶好の機会として、疾患の予防にまつわる様々な情報を提供しています。
歯科衛生士のレベルが上がれば、患者さんの生活習慣や体調の変化に気づけるようになります。テクニックはもちろん、唾液や歯肉・歯槽骨を観察する目を養うことも重要なのです。最近はスタッフの発案で休診日に特別研修会を催すなど、自ら学ぶ姿勢に意識の高まりを感じています。こうした取り組みが功を奏し、現在は治療と予防がバランス良く稼働しています。
今後もホームページやFacebookなどのツールをフル活用してさらなる情報発信に努めたいと思います。
たるみ歯科クリニックさんは、受付カウンターのすぐ右隣にディスプレイ専用の棚を設置しています。ここは来院した患者さんがまず目にとめるエリアですからアイキャッチ効果が高く、予防歯科製品の訴求にも効果的です。また、季節に合わせたセット販売も参考にしたいアイデアですね。文具などを詰め合わせたプチギフト仕様にすることで、ご家族へのプレゼント購入など新たなニーズを創り出しています。さらに、チェアサイドや待合室の掲示物、液晶ディスプレイ、デジタルフォトフレーム、ホームページなどをフル活用するほか、オリジナル制作の"たるみ歯科通信"など様々な工夫を凝らして情報を発信するなど、医院全体での取り組みが大きな効果を生んでいます。
