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予防歯科の現場

予防歯科最前線 vol.5 治療に結び付けて予防歯科を考える。プロケアとセルフケアのバランスが健康増進を実現する。…その鍵は「顕微鏡」と「IT化」   東京都港区 高輪歯科DCC 院長 加藤 正治先生 歯科衛生士/歯科技工士 相澤 真奈美さん

東京都港区開業 加藤 正治 先生 略歴

1990年
東北大学歯学部 卒業
東京都新宿区にて勤務(〜98年)
1991年
鶴見大学歯学部歯科理工学 専攻
1997年
学位取得(歯学博士)
1998年
東京都港区にて高輪歯科DCC(Dental Care Center:診療部門)開設
2001年
日本接着歯学会評議員(現職)
2010年
高輪歯科DSS(Dental Science Studio:研究部門)併設

日本接着歯学会認定医
日本歯科理工学会 Dental Materials Senior Adviser 認定(歯科接着器材, 予防歯科器材)

赤穂四十七士で有名な高輪・泉岳寺にほど近い東京都港区高輪で、「治療も予防歯科の一環」を掲げて開業している高輪歯科DCC。加藤院長は、外科的処置中心の歯科治療から、内科的分野も意識しながら“細菌”という概念を取り入れた、新しい発想の予防歯科に取り組んでいます。
患者さんへの充実した情報提供をスタッフ全員でのIT化への取り組みで実現し、セルフケア用品の院内処方で患者さんの口腔状態の改善を実現。従来とは異なる新発想のメンテナンスを提案しています。
健康維持から健康増進への予防歯科を進める歯学博士・加藤正治先生と、患者さんの心をつかむアドバイスで先生の活動をがっちりと支えている歯科衛生士/歯科技工士・相澤真奈美さんにお話を伺いました。

患者さんの口腔ケア意識の向上を第一に考える

▲院長 加藤 正治先生

健康回復、健康維持からさらなる高みへ

 加藤先生は「私どもは、治療と予防を切り離すのではなく、むしろ治療に結び付けて予防を考える、健康志向型の歯科医院」といいます。しかし、「治療から予防に転換しようと思ったことは全くありません」ともいいます。それは、「治療と予防の両輪がかみ合っていなければ、本当の予防を実践できない」というのが加藤先生の持論だからです。「予防は発症を未然に防ぐ。治療は再発予防。両方を合わせたものが予防歯科」といいます。
 そして、これまでの歯科医療を、「治療という健康回復型」と指摘します。「最近はメンテナンスが重視されるようになってきましたが、厳密にいえば、これはゼロのレベルからマイナス方向に行かないための健康維持だといえます。メンテナンスによって患者さんの意識改革が進み、口腔の健康目標が高くなれば、健康維持型から健康増進型にステップアップします」。


健康志向型歯科医院のイメージ

内科的発想の導入で患者さんの意識向上を図る

 歯科医院では、唾液の検査、PMTC、フッ化物塗布、定期健診など、予防関連の様々な項目がありますが、これらをただ行うのではなく、患者さんの意識に訴えて改革していくことを考えなければ意味がないと加藤先生はいいます。
 高輪歯科の診療チェアの脇には、歯科医院では通常見慣れない機器がありました。顕微鏡です。これは何をするためのものなのでしょうか。
 加藤先生は「予防の必要性を何回話しても、患者さんにはなかなかピンときません。しかし、その患者さんの口から唾液を採取して、その場でこの顕微鏡を使ってうごめく細菌を見たら、ターゲットが何なのかはっきりする」と顕微鏡の役割を話してくれました。もともと歯を磨かない患者さんでも、自分の唾液の中で細菌が動いているのを見たことが動機づけになって、デンタルリンスを使い始めた例もあるといいます。細菌検査コーナーは、予防意識を大きく変えるための大きなポイントです。
 高輪歯科ではほとんどの患者さんが唾液検査を受けるなど、より内科的な発想で、細菌感染の様子をきちんと捉えてから治療を開始しています。また、患者さんが持参した使用中の歯ブラシの毛もカットして、培養して見せるなど、細菌に対する意識を植え付けています。

スタッフ全員が探る患者さんにとってのベスト

▲院長 加藤 正治先生 歯科衛生士/歯科技工士 相澤 真奈美さん

スタッフの意識転換でIT化を実現

 予防歯科を「健康維持」から「健康増進」へと進化させるためには、「患者さんの意識を変える前に、医院で働くスタッフ自身の考え方が健康増進型に大きく変わらなければできない」といいます。
 う蝕や歯周病の症状は目で見れば分かりますが、予防は目に見えません。そのなかで患者さんの意識に訴え、定期的なリスクコントロールやメンテナンスに結びつけるために、高輪歯科は目で見てわかる「予防」作りを始めました。それがIT化でした。
 「うちのIT化は口腔内写真の撮影がスタート」と加藤先生。すべての患者さんの口腔内の写真を撮り、レントゲン写真や、通院履歴、治療履歴などをまとめたデータを蓄積し、データベース化を手がけました。先ほど紹介した口腔内の細菌検査結果も重要なデータの一つです。
 しかも、このデータ作りは特定の人が担当するのではなく、スタッフ全員誰もができるそうです。加藤先生は「全員が同じレベルに立ってこそデータベース化が定着する」といいます。データベースの導入で、患者さんごとのリスクを考えながら、その後のメンテナンス期間を決めることが可能になりました。
 この医院では、初診の患者さんのレントゲンおよび口腔内写真を撮影し、口腔内状況のデータにカラー写真を添付した資料ができるまでの所要時間が約7分間。「初診の場合でも、私が診察を始めるときには患者さんの情報は手元に揃っています」と加藤先生。その結果、初診でも患者さんの口の情報がインプットされているため、診療がスムーズに始まります。
 また、これらの情報は患者さんにも提供されます。加藤先生は「患者さんへ伝える情報の中でも、患者さんが本当に興味があるのは自分の口の中の情報です。自分の口の中の情報に接した患者さんは、一様に驚きを示します」といいます。また、術前の口腔内の状態と、術後の状態をその場で比較しながら見せることで、患者さん自身のケアを受ける効果や重要性に対する認識が飛躍的に高まるといいます。

▲ロビーに置かれた棚から、患者さんがセルフケア用品を選ぶことができる

意識向上をサポートするセルフケア用品の推奨

 高輪歯科では受付カウンターの上はもちろん、ロビーのストックケース、診療室のチェアサイドなど、いたるところにセルフケア用品が置かれています。これは、ケア用品をいわゆるセルフケアの範疇ではなく、治療の中にどんどん組み込んでいるためです。
 「歯科医院では患者さんの口腔状態はもちろんのこと、セルフケアが上手か下手か、治療の進行状況など、すべてを把握しています。そこで、薬を処方する場合と同じように、それぞれの患者さんに最適なケア用品を院内処方という形で提供しています」と加藤先生。
 「チェアサイドに置いてあるケア用品は、院内処方として、その場で使い方と効果を説明して、備え付けのレジ袋に入れてお渡しし、帰りに受付で会計しています」とスタッフの一人が説明してくれました。
 次回の治療のために、歯茎の状態を改善しておきたいときには、例えばライオンのSystema 薬用歯間ジェルを処方して使い方を指示します。患者さんは治療のためと認識して、きちんとケアしてくれるといいます。「状態が良くなれば治療もやりやすくなります」と加藤先生。
 この医院では、通院後にもケア用品だけを買いに来る患者さんが多く、積極的な院内処方でケア用品を歯科医院で購入するスタイルが定着しています。

▲受付カウンターに並ぶセルフケア用品

▲診療室のチェアサイドにもセルフケア用品が置かれている


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